- 記事
- テーマから探す
- カルチャー(芸術と思想、くらしの物語)
- 甘酒の魅力が満載!『甘酒のほん 知る、味わう、たずねる』の筆者が読者に伝えたいこと
甘酒の魅力が満載!『甘酒のほん 知る、味わう、たずねる』の筆者が読者に伝えたいこと
『甘酒のほん 知る、味わう、たずねる』が刊行されました。この本では、古くて新しい発酵飲料「甘酒」の、奥深くて豊かな世界に読者をご案内します。今日まで日本人の健康を支えてきた「飲む点滴」としての魅力や発酵のしくみ、神代から今日につながる歴史、さらに日々の暮らしや旅先での新しい楽しみ方などを紹介しています。
甘酒を知ると、毎日がもっと楽しく、健康に。甘酒のほっこりとするおいしさや懐かしさ、それから私たちの知的好奇心をくすぐる魅力を本書を通じて体験していただけましたら嬉しいです。(編集担当・平井里枝)
このストーリーでは、小学生のときに甘酒をつくりはじめて27年、‟甘酒探求家”として活動をしている著者・藤井 寛氏が、本書に込めた想いと甘酒の魅力を紹介します。
甘酒の魅力にハマり、気づけば“甘酒探求家”として活動することに
私は子ども時代から甘酒が大好きで、小学4年生ごろに自分でつくり始め、今でもよく甘酒を飲んでいます。同時に、「あまざけ.com」というウェブサイトを創設し、甘酒に関するあらゆる情報を発信。気がつけば、甘酒探求家として活動するまでになりました。
なぜ、これほど甘酒に夢中になったかというと、一番の理由は、そのおいしさです。砂糖はまったく使わないのに、滋味豊かな甘みと旨みがあり、独特のとろみがあって喉越しがやさしい。しかも、後味がスッキリしている。自然のおいしさに魅せられ「よりおいしい甘酒に出会いたい」と、全国を調査するうちに、私はある発見をしました。味噌や醬油、日本酒などの醸造元が、本業の麹菌を使って甘酒をつくっているケースがかなりあったのです。各醸造元それぞれに独自の製法や材料があり、また、特有の味わいがありました。日本各地をめぐる中で、日本の醸造文化の素晴らしさを目の当たりにした私は、ますます甘酒の探求に熱中し、今に至ります。
(麹甘酒と酒粕甘酒の違い)
甘酒は、体に優しく簡単につくれるスーパー飲料
私たち日本人の〝財産〟ともいえる、魅力あふれる発酵飲料です、甘酒。なんといっても、第一の魅力はそのおいしさですが、さらに、「飲む点滴」「飲む美容液」と称されるほど、体にいい飲み物です。人間の体に必要なビタミン類や必須アミノ酸、食物繊維や酵素などがたっぷり含まれており、疲労回復や細胞の活性化、免疫力や代謝の向上など、さまざまな健康効果が得られます。また近年は、脳の働きを促進したり、腸内環境をととのえたりすることもわかっています。それだけではなく、甘酒はお米と麹で簡単につくれるという特徴もあります。
近年の発酵ブームもあいまって、今や甘酒は、全国約600もの製造元で、1200種類もの製品がつくられているといわれていますが、それらを楽しむのはもちろん、自分好みの甘酒をみずから手づくりすることもできるのです。おいしく、そして体にもよく、子どもからお年寄りまで安心して飲めて、家庭で手軽にできる。まさに、甘酒はスーパー飲料ともいっていいでしょう。
甘酒を取り入れて、健康で楽しく、豊かな毎日を
古代から日本人の暮らしと密接にむすびつき、今も全国各地の祭りなどで甘酒をふるまう習慣が大切に残っています。一方で、少子高齢化や人口減少の影響を受けて、地方のつくり手が少なくなりつつあります。しかし、健康志向が高まった今、栄養的にも優れ、しかもナチュラルでおいしい飲みものとして、ふたたび光が当たっているのも事実。10年前に比べると、その需要は大幅に伸び、この流れは今後も続いていくでしょう。
そう、甘酒は古くて新しい、これからの飲みものなのです。最近、お気に入りのカフェでコーヒーを飲んだり、家で淹れたこだわりのコーヒーを持ち歩いたりする人がたくさんいるように、気軽に甘酒が楽しめるお店や、自分でつくった甘酒を外で楽しむ機会など、今後も新しいかたちを取り入れながら末永く残っていくことを願っています。甘酒によって、皆さんの暮らしが健康で楽しく、そして、より豊かなものになるために、この本がお役に立てたらこれほど嬉しいことはありません。
著者
藤井 寛
甘酒探求家/発酵牧場株式会社代表取締役
東京農業大学応用生物化学部醸造科学科卒業。同大学大学院農学研究科食品栄養学専攻博士前期課程修了。幼い頃から祖父の漬けた漬物や、手づくりの味噌、母親が日常的につくっていた甘酒など、発酵食品に親しみのある環境で育つ。甘酒づくり歴27年、日本全国の蔵元・醸造元のリストなど甘酒にまつわる情報を収集し発信するウェブサイト「あまざけ.com」を運営。甘酒は日本が誇る発酵食品であるという信念のもと、各地の甘酒を探し求めるとともに発酵文化の発信をおこなう。講演会やセミナー、テレビ、雑誌などで活躍中。監修に『発酵あんこのおやつ』『発酵ベジあんのおかずとおやつ』(ともにWAVE出版)著書に『元気をつくる!麹の甘酒図鑑』(主婦の友社)。
この記事が気に入ったらいいね!しよう