安国寺(あんこくじ)
足利尊氏・直義(ただよし)兄弟が,後醍醐天皇をはじめとする元弘以来の戦死者を供養し,国土安穏を祈願して建立した寺院。夢窓疎石(むそうそせき)の勧めで1338年(暦応元・延元3)頃から造営を開始し,全国66国2島にそれぞれ1寺1塔を設けた。45年(貞和元・興国6)光厳(こうごん)上皇は院宣により寺に安国寺,塔に利生塔(りしょうとう)の通号を定めた。安国寺は守護の菩提所である禅院があてられた。安国寺造営は宗教面だけでなく,守護を通じての幕府の支配力や威信の浸透,治安の維持という意味もになっていたことを示す。尊氏・直義の死,五山制度の確立などにともない,その意義も薄らいだ。現存する安国寺は約40,利生塔は皆無。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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