秋萩帖(あきはぎじょう)
平安時代の草仮名(そうがな)の代表的な書の巻子本。巻首に「あきはぎの」(「古今集」巻4)の歌があり,江戸時代に模刻本が刊行され,巻子本でありながら「秋萩帖」とよばれる。(1)第1紙(和歌2首,麻紙がかった楮紙),(2)第2紙以下(和歌46首,楮紙),(3)第16紙以下巻末まで(王羲之(おうぎし)書状臨写11通),(4)上の(2)と(3)の裏(淮南鴻烈兵略間詁第廿),に区分される。第1紙は,古意豊かな品位に富む草仮名で小野道風(みちかぜ)の書と伝えるが確証はない。第2紙以下は運筆に遅渋のあとがみえ表現が散漫。藤原行成(ゆきなり)・伏見天皇など,時代・筆者推定に諸説ある。料紙裏の継ぎ目に伏見天皇の花押(かおう)があり,御物であったことが知られ,のち霊元天皇・有栖川宮家・高松宮家に伝えられ,現在は東京国立博物館蔵。国宝。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
この記事が気に入ったらいいね!しよう