県召除目(あがためしのじもく)
春除目のこと。主として外官(げかん)を任命したので県召と称したが,実際には京官もあわせて補任された。除目議は清涼殿に公卿が参集して行われ,執筆(しゅひつ)の大臣が天皇の意をうかがいながら任官者を決め,順次大間書(おおまがき)に記入していく。式日は「年中行事御障子文(みしょうじぶみ)」や「北山抄」が1月9日とするが,現実には1月下旬から2月に行われ,3月以降のこともあった。ふつう3夜にわたり,第1夜に四所籍(ししょのしゃく)や年官(当年給)を,第2夜に年官(未給・国替(くにがえ)・更任(こうにん)・名替(ながえ)),文章生(もんじょうしょう),内舎人労(うどねりのろう),上召使,諸道挙(しょどうのきょ),諸院挙,親王参議以下の兼国,宿官,顕官挙(けんかんのきょ)を,第3夜に院宮内官未給,京官,受領(ずりょう),公卿を任じ,種々の申文(もうしぶみ)(自薦・他薦)と勘文(かんもん)が参考資料とされた。議が終わると大間書が奏上され,天皇の確認をへて正式決定となった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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