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県(あがた)

大和政権の地方制度。畿内の県は大和国の六御県(むつのみあがた)のように,大王(おおきみ)の日常生活を支える物資を供出し,内廷経済を支えた。その長が県主(あがたぬし)。一方,畿外の県については諸説があり,「古事記」「日本書紀」の所伝では祭祀とも深い関係をもち,宗教的性格が強いところから,国造制の成立以前におかれた大和王権の古い地方組織とみなす説,「隋書」倭国伝の軍尼(くに)―伊尼冀(いなぎ)から,稲置(いなぎ)を県の長とみなし,国―県という2段階の地方組織が7世紀にあったと考える説などがある。さらに県を「こおり」とよみ,評・郡の前身となる地方組織の存在(屯倉(みやけ)を核とする)を推定する説もあり,その実態には検討が必要である。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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