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勅旨田(ちょくしでん)

皇室財政を支えるために,天皇の勅旨で設置された田。不輸租田。8世紀からみられ,国司が正税や公水を用いて雑徭(ぞうよう)・雇役労働力によって開発し管理・運営した。とくに9世紀前半の天長・承和年間には大規模で全国的な空閑地・野地・荒廃田の勅旨田化がみられ,この時期の国家的開発事業の主体となった。また各種の賜田(しでん)や施入田に転化されていくことも多かった。しかし10世紀初頭には,勅旨田設定による一般農民の耕作障害が問題となり,開発費用の国庫負担も廃止された。その結果,その後は開墾事業的側面が薄くなり,地子米(じしまい)収取による経営を主体とし,地子米は穀倉院や内蔵寮の主要な財源となった。のちに荘園に転化したものも多い。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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