朝鮮総督府(ちょうせんそうとくふ)
韓国統監府を起源とし,1910年(明治43)から第2次大戦終了の45年(昭和20)まで存続した日本の植民地朝鮮統治機関。1910年10月施行の総督府官制により京城(現,ソウル)に設置。総督には陸・海軍大将が任命され天皇に直属,諸般の政務を統轄し法律にかわる総督府令を出す権限などをもった。初代寺内正毅(まさたけ)。政務総監が総督を補佐し,その下に官房と総務・内務・度支(たくし)・農商工・司法の各部がおかれた。憲兵と警察を合体した憲兵警察制度をとり,地方は13道にわけられ,その下に府・郡・面の行政組織がおかれた。初期10年間は武断統治が行われたが,19年(大正8)の3・1運動により統治政策を転換,文化政治とよばれる同化政策を推進。総督任用範囲の拡大(武官でなくとも可),憲兵警察制度の廃止などもあったが,文官が総督となったことはなく,支配は巧妙に強化された。1930年代には兵站(へいたん)基地化政策がとられ,総動員体制の構築と人的・物的資源の収奪が強行された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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