町(ちょう)
中世後期に成立し,近世において都市社会の基礎単位となった共同体。一般に通りをはさんだ両側の家々で両側町(りょうがわちょう)を形成し,木戸・番屋・町会所(ちょうかいしょ)などの町有施設を備えていた。町はたんなる地域単位ではなく,町人すなわち町屋敷所有者の身分団体である町中(ちょうじゅう)によって運営され,独自の町掟(ちょうおきて)と町入用(ちょういりよう)(会計)をもっていた。このため借屋人は町内の居住者ではあっても町中への参加資格はなく,基本的に町運営から排除されていた。また非町人身分である武士や賤民は原則的に町に居住することは認められていなかった。近代に入ると町中は身分制とともに解体し,町はたんに地域単位となった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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