中山世譜(ちゅうざんせいふ)
首里王府の正史。蔡鐸(さいたく)本,蔡温(さいおん)本の2種あるが,通常蔡温本をさす。蔡鐸本は久米村総役の蔡鐸が編集,1701年完成。正巻5,付巻1,薩摩関係の付巻1の全7巻,羽地朝秀が著した「中山世鑑」の漢訳・修訂を目的とし,「歴代宝案」などから新たな記録をとりいれている。蔡温本は汪楫(おうしゅう)の「中山沿革志」など新資料の利用により蔡鐸の「中山世譜」を改修して25年編集。体裁は蔡鐸本を引き継ぎ,中山王世系を正巻,薩摩関係を付巻とする。蔡鐸本に比べ記録は大幅に増加し,編集にあたって蔡温の合理性が随所に発揮されているが,中国資料にあわせて旧来の正史の伝承を改変するなどの問題点もある。廃藩時の1876年(明治9)まで書き継がれた沖縄研究の第一級資料。「琉球史料叢書」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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