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治安維持法(ちあんいじほう)

1925年(大正14)4月に公布された,無政府主義者や共産主義者の活動に対する安寧秩序維持のための特別刑罰法規。司法省の発案に内務省が手を加えて立法化された。国体の変革または私有財産制度の否認という点を適用の要件とする。国体とは万世一系の天皇が君臨し統治権を総攬することであり,統治権を行使する方法・形式とは区別されると考えられており,また私有財産制度を是認したうえで土地や企業などを国有化することや,実現の観念をともなわない学術上の私有財産制度否定の考え方は同法に違反しないと解釈されていた。26年(昭和元)の京都学連事件がはじめての適用例。28年3・15事件後緊急勅令形式で改正された結果,国体の変革に重点がおかれ,これに対する最高刑を死刑とした。また,結社加入を問題とするだけでなく「為ニスル行為」をも問題とし,犯罪の構成要件を拡大した。さらに41年再度改正され,保護観察・予防拘禁の制度が規定された。第2次大戦後の45年10月勅令により廃止。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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