延暦寺(えんりゃくじ)
山門とも。滋賀県大津市坂本本町にある天台宗総本山。比叡山と号す。近江国分寺で得度した最澄(さいちょう)は,785年(延暦4)の受戒後まもなく比叡山に入山。788年には薬師仏を刻んで小堂に安置し,比叡山寺・一乗止観院(いちじょうしかんいん)と号した。入唐求法の旅から帰朝後,年分度者(ねんぶんどしゃ)2人をうけて天台法華宗を開創。822年(弘仁13)最澄没後7日目には大乗戒壇建立が認可され,翌年に延暦寺の号が勅許された。以後,円仁(えんにん)・円珍両門徒の対立と993年(正暦4)後者の離山などの事件はあったが,天皇家・摂関家との結びつきを強めながら,三塔(東塔・西塔・横川(よかわ))十六谷の広大な寺域をもつ大寺に発展。平安後期からは寺領荘園を集積して巨大な権門寺院に成長し,南都の諸寺とともに南都北嶺(ほくれい)とよばれ,宗教界だけでなく世俗の世界でも大きな権勢をふるった。1571年(元亀2)織田信長の焼打で焼失するが,のち豊臣秀吉や徳川氏の庇護により復興した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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