1. 用語
  2. 日本史 -え-
  3. 撰銭(えりぜに)

撰銭(えりぜに)

「えりせん・せんせん」とも。清撰(せいせん)・精選とも。貢納や商取引の際,通用価値の低い銭貨の受取りを拒否し,精銭による支払いを要求する行為。平安末期以来,中国銭を中心とする貨幣使用が広がったが,やがて磨滅・破損した銭や粗悪な私鋳銭などが入り混じって流通するようになり,そのような悪銭の受取りを嫌う考え方が生じた。とくに戦国期には,明銭(みんせん)の下落など通貨体系に大きな動揺がおこり,貨幣価値が不安定化して撰銭が激しくなったことから,多くの撰銭令が発令された。撰銭の対象となった悪銭も,貨幣流通から排除されたわけではなく,低価値で通用した。江戸時代に入り,寛永通宝が発行されて大量に流通するにいたり,撰銭は終息した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう