絵巻(えまき)
横長の巻物に絵を描いたもの。鑑賞する際は,両手でもち,順次右から左へ巻き進めていく。詞章(詞書(ことばがき))とその内容を表した絵の組合せを1段とし,これを数段くりかえすのが最も一般的な形式だが,詞書のないものや絵のなかに説明文や登場人物の台詞(せりふ)などを書きいれたものもある。主題は物語・日記・説話・御伽草子・詩歌・経典・社寺縁起・高僧伝・肖像など多岐にわたり,歴史資料・民俗資料としても重要。現存最古の絵巻は8世紀前半の「絵因果経」。平安時代には,唐の画巻の影響をうけて上品で優雅な物語絵巻の制作が始まり,鎌倉時代以降は,社寺縁起や高僧伝の流行により大量の絵巻が制作された。近世以降,しだいに創造的な気運を喪失した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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