江戸(えど)
東京の前称。平安末期以来の地名。江戸氏が居館をつくり,1457年(長禄元)太田道灌が江戸城を築いた。戦国期には後北条氏の支城がおかれた。1590年(天正18)徳川家康が入城,1603年(慶長8)家康が征夷大将軍に任じられ幕府を開いて以降,日本の政治的中心となる。江戸城築造や町割の実施,五街道の開設,参勤交代の制度化,将軍直属家臣団の集住などにより,市街は急速に発展した。明暦の大火(1657)後の再開発で市域を拡大し,18世紀初めには人口100万をこえる巨大都市となり,一大消費市場を形成した。一方では関東・東北地方に対する中央市場,上方と結ぶ中継市場としても機能した。巨大都市化の結果としてさまざまな都市問題も発生し,とくに貧民層の肥大化は,享保・天明・慶応各期の大規模な打ちこわしの要因となった。明治期になって江戸城の跡に皇居がおかれ,東京と改称。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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