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衛士(えじ)

奈良・平安時代に宮都の警衛にあたった兵。諸国の軍団兵士から選ばれて上京,左右衛士府・衛門府に配され,宮中の禁衛,行幸の警備,京中の治安維持等にあたった。定員は時により増減があるが,805年(延暦24)の時点では合計1600人であった。勤務年限は養老令で1年と定めていたが,実際には長期にわたった。衛士になると課役が免除され,庸(よう)から食料が支給され,のちには郷土負担の銭が支給されたが,衛士の待遇は仕丁(しちょう)との類似点が多い。衛士は公民に課された過酷な徭役労働の一種であり,中央親衛軍ではしだいに官人・豪族層による舎人(とねり)の武力を充実させて,衛士の軍事的意義は低下していった。792年の軍団制廃止後も衛士は公民から直接徴発され,延喜式制では左右衛門府に各600人が属した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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