栄花物語(えいがものがたり)
「栄華物語」「世継(よつぎ)」「世継物語」とも。平安時代の歴史物語。40巻。巻30までの正編と,以下の続編にわかれる。正編の作者としては赤染衛門(あかぞめえもん)が有力視されるが,確証はない。続編作者は未詳。正編は長元年間(1028~37),続編は1092年(寛治6)以降まもなくの成立とみるのが定説。正編は村上朝から藤原道長の死までを整った編年体で描く。後宮に歴史をみるという姿勢が基本。道長に対する賛美的記述が多く,批判性に乏しい。続編は30~92年(長元3~寛治6)を扱うが,散漫で統一的な構造がみえない。摂関時代史をはじめて描き,また歴史物語の最初の作品として「大鏡」以下の諸作品の先駆となった。歴史と文学の両面で重要な作品。「新編日本古典文学全集」「日本古典文学大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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