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幕領(ばくりょう)

江戸幕府の直轄地。幕府領の略。俗に天領ともいい,近世には御料・御蔵入とよばれた。関東・東海・畿内・北陸などを中心に全国に設定され,幕府の財政基盤である年貢・諸役徴収のための穀倉地帯や,全国支配の要地である鉱山・都市・港湾・森林地帯などが含まれていた。総高は1615年(元和元)頃には200万石ほどだったが,その後増加しつづけ,ピークの18世紀半ばには460万石をこえた。以後漸減するが幕末まで総高400万石以上を維持した。管理は約8割が幕府の勘定方より派遣した郡代・代官による直接支配で,残りは大名などによる預所形式をとった。郡代・代官による支配は管轄範囲に対して役人数が少なく,地域の村役人層の協力が不可欠で,独自の軍事力がないために,一揆などに対しては近隣大名の援助を求めた。1868年(明治元)明治新政府によって接収されたのち,府・県として新政府にその直轄が引き継がれるが,71年の廃藩置県実施で旧藩領との区別がなくなった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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