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肥前国風土記(ひぜんのくにふどき)

諸国風土記の一つ。713年(和銅6)の風土記撰進の命で編纂された。715年(霊亀元)施行の郷里制に従って記述され,また軍事的な記事が多いことから,節度使(せつどし)設置の732年(天平4)頃の成立とする説もある。国名の起源を説明した後,各郡の地名起源説話などが記されるが,景行天皇や神功(じんぐう)皇后の巡幸と結びつけたものが多く,「日本書紀」にもとづいて述作された部分も目立つ。体裁は「豊後国風土記」と同一で,西海道諸国の風土記は大宰府で一括して作られた可能性が強い。現存諸本のなかでは鎌倉中期の書写である猪熊家所蔵本が最古のものだが,いずれも抄録本である。「日本古典文学大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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