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聖(ひじり)

霊能をもつ民間の宗教者。「日知り」が語源という。奈良時代から仏教的色彩を濃く帯びるようになり,山林などに修行する行者(ぎょうじゃ),民間に近接して活動する菩薩僧,半僧半俗の沙弥(しゃみ)や優婆塞(うばそく)などの称となった。平安時代になると念仏や法華経持経による往生行者も加え,市聖空也(くうや)・革聖行円(ぎょうえん)・多武峰(とうのみね)聖増賀(ぞうが)など多くの著名な聖が輩出し,「聖人」「上人」「仙」といった語も同義に用いられるようになった。また本来彼らの多くは単独行動だったが,この時代から京の大原や高野山などに集団で居住する「別所」を形成する者も現れた。鎌倉時代以降さらに行動範囲を広げて,念仏聖・遊行(ゆぎょう)聖・勧進聖・唱導聖・高野聖などの活動が展開された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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