北海道旧土人保護法(ほっかいどうきゅうどじんほごほう)
1899年(明治32)に制定された明治国家のアイヌの人々への同化主義政策を集大成した法律。アメリカ・インディアンの合衆国市民への同化を企図したドーズ法(1887)の強い影響をうけた同法は13条から構成され,アイヌの人々への土地給与(1戸につき1万5000坪=5ヘクタール以内),農耕の奨励,初等教育の普及(アイヌ小学校の特設,授業料の支給)などを重要な施策として位置づけていた。同法の根底には「優勝劣敗」と「一視同仁」の論理が貫かれ,前述の施策を通してアイヌ民族を明治国家のなかに統合していくことを企図していた。5度の改正をへて存続し,北海道ウタリ協会は同法を廃止し,アイヌ民族の権利をもりこんだ「アイヌ新法」の制定をめざす運動を展開した。1997年(平成9)5月,アイヌ文化振興法の成立にともない廃止された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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