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宝暦治水事件(ほうりゃくちすいじけん)

江戸中期,幕命で木曾三川の治水工事を行った鹿児島藩で多数の犠牲者を出し,総奉行が引責自刃した事件。濃尾平野は木曾川・長良川・揖斐(いび)川をはじめ大小の河川が乱流する常習的な水害地帯であった。これらの河川を制御するため,幕府は1753年(宝暦3)鹿児島藩に御手伝普請を命じ,木曾・長良川と揖斐川が合流する油島に締切堤を設けたり,長良川と揖斐川を結ぶ大榑(おおぐれ)川に洗堰(あらいぜき)を設けるなどの三川分流工事をさせた。工事は翌々年に完成したが,鹿児島藩では多大の出費と多数の犠牲者を出したため,工事の総奉行で家老の平田靭負(ゆきえ)が責任をとって自刃した。これを題材にした小説に杉本苑子「孤愁の岸」がある。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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