防長一揆(ぼうちょういっき)
1831年(天保2)周防・長門両国の萩藩のほぼ全域と支藩徳山藩領に発生した全藩一揆。参加者数は6万人余に達した。米の出穂期に皮革を運ぶと不作となるという俗信から小鯖村で発生した皮革騒動が一揆の発端で,産物方による流通統制策などの収奪に苦しめられていた領民が領内各地で同時に蜂起した。要求は地域によって異なるが,年貢減免,商品流通の自由化,札銀相場の領内統一,村役人の交替と公選などで,産物方用達・郷士・村役人や皮革騒動との関係で被差別部落を打ちこわした。広域で展開した一揆のため藩は大幅な譲歩を余儀なくされ,村役人の交替も進んだ。この衝撃は萩藩における天保改革実施の契機の一つとなった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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