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方丈記(ほうじょうき)

平安・鎌倉時代の随筆。鴨長明(かものちょうめい)著。1212年(建暦2)成立。父長継の跡をうけて下鴨社の禰宜(ねぎ)になる道を閉ざされた憂いなどから,俗世の交わりをたち出家した長明が,京都の東南で,醍醐寺に近い日野山に構えた方丈の草庵にこもり,日々の感懐をつづった。「維摩経(ゆいまきょう)」の維摩の居室の方丈にちなみ,慶滋保胤(よししげのやすたね)の「池亭記」から構想をうける。安元の大火,治承の辻風,福原遷都,養和飢饉,元暦大地震の5大災厄の記事を含む広本系と,含まない略本系に大別される。鎌倉初期の大福光寺本(重文)は長明自筆とも考えられていたが,現在では否定的。「新日本古典文学大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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