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封建制度(ほうけんせいど)

日本史学では,およそ次の四つの意味で用いられる。(1)中国で集権的な郡県制との対比で用いられる分権的国家体制,つまり諸侯を封じて国を建てる封建制(儒学的封建制概念)。(2)西欧中世のレーエン制をモデルとしての,主従関係を軸とした政治的・軍事的制度(法制史的封建制概念)。(3)史的唯物論の立場から人類社会の発展段階の一階梯として位置づけられ,農奴制的生産様式を下部構造として構成される社会制度(農奴制的封建制概念)。(4)フューダリズムの語で西欧中世の社会をモデルとしての,レーエン制や農奴制をもその要素として含む社会構造全体(社会史的封建制概念)。近世日本の知識人が当時の社会を封建制と考えたのは(1)の意味においてだったが,近代歴史学が西欧中世と日本中世との構造的類似に注目する過程で,ことに分権的な政治体制である(1)と(2)の現象的な類似に着目して「封建」の語が拡大使用された。さらに第2次大戦後は,史的唯物論の立場にもとづく(3)の意味が「封建」概念の中核を占めるようになった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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