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方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)

弥生時代の墓制で,地域によっては古墳前期にもひきつがれる。弥生前期に畿内で出現し,のち全国に普及。1辺5m前後から20mほどの大きさで,幅約1~2mの溝が方形にめぐる。検出例は少ないが,溝で囲まれた中に本来低い盛土があり,そこに1ないし数基の埋葬主体がある。埋葬主体は土壙がふつうであるが,溝内に設けられることもあり,土器棺も併用される。副葬品は少なく,剣・玉類などが少量検出される。溝内からは供献用の底部穿孔(せんこう)土器が発見されることが多く,墓前での葬送儀礼に用いたものとされる。墓は集落に隣接して単独あるいは群集して営まれており,集落内の特定集団の墓としての性格が強い。広い意味での墳丘墓で,円形周溝墓・前方後方型周溝墓などとの関連もある。近年朝鮮半島南部からも発見されている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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