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院庁下文(いんのちょうくだしぶみ)

上皇の政務機関である院庁の発給する文書の一つ。「院庁下」と書き出し,その下に充所(あてどころ)を記し,事書(ことがき)以下の本文は「故下」で書き止める。奥には別当以下の院司の署判が,日付の下には主典代の署判がすえられる。院司が多数のときは署判は2段に記される。初見は1114年(永久2)。院政初期には院庁牒(ちょう)が多く発給されたがしだいに減少し,院庁下文が発給されるようになった。両書の分担関係は不明だが,国衙(こくが)あての場合に院庁牒の充所が「国衙」なのに対し,院庁下文では「在庁官人等」となる点が異なる。院政期における内容は院の所領などに関するものが大半で,それも官符などの太政官系文書の命令とあわさってはじめて効力を発揮した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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