1. 用語
  2. 日本史 -い-
  3. 院政(いんせい)

院政(いんせい)

譲位した天皇である上皇あるいは出家した上皇である法皇が,院庁において実質的に国政を領導する政治形態。院政の萌芽は,すでに平安前期の宇多上皇の時代にみられるが,本格的に展開するのは,1086年(応徳3)の白河上皇の院政開始に始まる。以後,鳥羽・後白河と3代の院政が続き,法にとらわれない専制的政治が定着した。この時代は院政期とよばれる。以後,中世を通じて天皇親政よりもむしろ院政がふつうとなり,形式的には1840年(天保11)の光格上皇死去まで継続する。院政においては,院宣・院庁下文(くだしぶみ)といった院の発給文書が国政上重要な機能をはたすようになり,それらの発給を通じて太政官の機構が動かされるというかたちで国政が掌握された。摂関家におさえられた受領(ずりょう)層などの中下級貴族が王権のもとに結集し,武士とともにまき返しを図ろうとした点に院政成立の最大の要因があり,これに父系血統を通じて自分の意のままに天皇の位を廃立しようとする王権の意図が結びついて,院政という政治形態が出現したと考えられる。のち武家政権と対立してその専制力を弱め,承久の乱以後は形式化していった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう