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印章(いんしょう)

文書などに押す「はん」。古代には太政官その他の出す公文書には,それぞれの役所の印章(官印)が押されていたが,中世になるとみられなくなる。鎌倉中期には,中国で行われていた私的な印章の使用が入宋僧・渡来僧などにより伝えられた。まず禅宗の僧侶,つづいて禅宗に帰依した武士(足利尊氏・同直義(ただよし)など)が使い始めた。ただし画像の賛に押したり,文書の本文部分に押して,署名の代用としては用いられなかった。戦国期になり,しだいに花押(かおう)のかわりに用いられた。近世以降現代まで,いわゆる「はんこ万能」の時代となった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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