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稲村三伯(いなむらさんぱく)

生没 1758~1811.1.16 江戸後期の蘭方医・蘭学者。名は箭(せん),号は白羽。鳥取藩医稲村三杏(さんきょう)の養子となり,亀井南冥(なんめい)に学ぶ。1792年(寛政4)大槻玄沢(げんたく)の芝蘭堂に入門。玄沢に辞典の翻訳を頼んだが,多忙のため断られ,元通詞の石井恒右衛門を紹介された。ハルマの蘭仏辞典を訳出してもらい,宇田川玄随・岡田甫説らの協力をえて辞書を編纂,96年日本最初の蘭日辞典「ハルマ和解(わげ)」ができた。その後,実弟越前屋大吉の負債事件に関連して藩邸を出奔,下総国稲毛に隠棲,名も海上随鴎(うながみずいおう)と改めた。1805年(文化2)京都に移り蘭学を教授,門下には藤林普山・小森桃塢(とうう)・中天游(なかてんゆう)らが輩出しており,関西の蘭学発展に貢献した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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