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稲作(いなさく)

縄文晩期(弥生早期とも)には中国大陸から日本に稲作技術が伝わり,弥生時代には本州北部から九州南部まで広がった。日本の稲作は水田稲作を基調とし,用水の灌漑技術のあり方に規制される。古代~中世の用水体系は溜池灌漑に代表され,水田の分布は小河川の流域ないし山間部の谷戸田(やとだ)(谷津田)が大部分であった。しかし,近世社会の用水体系は用水源を河川に求めた用水路灌漑に移行して,飛躍的な農業生産力の発展を可能にした。大河川流域の沖積層平野が大規模に開発され,稲作技術についても鉄製農具の普及,品種改良の推進,施肥技術の改善などがみられた。近代の稲作は「米と繭の経済構造」と称されたように,一大基幹作目として日本経済の重要な産業部門であった。現在は国際経済のなかで米が自由化の波に洗われている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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