稲置(いなぎ)
古代の官職名あるいはカバネ。「日本書紀」成務紀にみえ,645年(大化元)8月の東国国司への詔にも「県稲置(あがたのいなぎ)」が現れ,国造より下位の地方豪族がつく職名とみられる。「隋書」倭国伝の「伊尼冀(いなぎ)」をあてる説もある。一方,允恭紀2年条には闘鶏(つげ)国造の姓(かばね)を稲置に貶(おと)すともあり,某稲置を名のる豪族の実例から,カバネの一つとも考えられる。684年(天武13)制定の八色(やくさ)の姓の最下位にもみえている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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