一遍上人絵伝(いっぺんしょうにんえでん)
時宗の開祖一遍の伝記絵巻。現存作品は15点以上知られるが,詞書(ことばがき)で分類すれば聖戒(しょうかい)編「一遍聖絵(ひじりえ)」と,宗俊編「一遍上人絵詞伝」の2系統。宗俊本は10巻中4巻分が一遍の伝記で,1307年(徳治2)以前に成立した原本は現存せず,各地に転写本が残る。聖戒本は1299年(正安元)制作,12巻。絵巻には珍しい絹本着色,絵は円伊(えんい),外題は世尊寺経尹(つねただ)と伝える。一遍が遊行した全国の景観,風俗を平安時代以来の伝統的な名所絵,四季絵に水墨画の趣を加味した独特な画風で描く。縦37.7cm,横935.5~1163.5cm。歓喜光寺・清浄光寺蔵(第7巻のみ東京国立博物館蔵)。国宝。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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