一期分(いちごぶん)
中世財産相続権の一形態。分割相続から嫡子単独相続への過渡的形態。相続人が次の相続人を自由に選べる永代譲与に対し,相続人の権利をその一生(一期)に限定し,被相続人が次の相続人(未来領主)を指名する相続形態を一期譲与といい,一生涯に限定された相続人(一期領主)の権利を一期分という。平安末期の寺院内の師資(しし)相続にみられ,女子・庶子に対しては鎌倉後期~南北朝期に一般化した。所領の細分化・流出を防ぐために,子女の生存中は権益を保障し,死後は嫡家惣領にとり戻した。嫡子単独相続制が成立し,庶子が相続からのぞかれ扶持をうけるようになっても,女子に対しては持参財として一期分が存続する場合があった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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