板碑(いたび)
板石塔婆(いたいしとうば)とも。13世紀前半頃から17世紀初頭にかけて造られた石塔の一形式。全国的に分布し,それぞれ地域的特色をもつが,関東地方の青石(あおいし)塔婆は,現在約3万基の存在が知られ,板碑を代表するものとされる。青石塔婆は,板状の緑泥片岩で造られ,頂部を三角形にし,上方から順に2本の横線,梵字,仏の画像などが刻まれている。造立の目的は,両親の供養また自分の後生供養のためで,鎌倉時代に前者が多く,室町時代には後者のものが多い。鎌倉時代は,在地領主層の造立したものが多いが,15世紀以降は,農民の供養塔が多くなる。戦国期の関東の板碑には,私年号で年号を表記したものが多くみられる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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