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伊勢物語(いせものがたり)

平安時代の歌物語。作者・成立年未詳。「昔,男ありけり」といった書出しの,歌を核とする長短さまざまの話を125編(定家本)集めたもの。在原業平(ありわらのなりひら)に擬せられる主人公の初冠(ういこうぶり)(元服加冠)から始まり,辞世の歌で終わる。恋物語が中心だが,惟喬(これたか)親王の段など政治的な話も含む。世俗の掟に挑戦する主人公の激情と行動性が魅力である。高貴でありながら不遇であった業平への共感が,彼を好色者として理想化する物語を生んだのだろう。原形は「古今集」以前に成立し,以後10世紀半ば頃までに増補された。「源氏物語」への影響は多大。「日本古典文学大系」「日本古典文学全集」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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