伊勢商人(いせしょうにん)
中世末以後,諸国の城下町などに進出した伊勢国出身の商人。同国大湊・桑名・津は中世から交通の要地として商業が栄え,津の商人は後北条氏の小田原に出店していた。近江国日野から移封された蒲生氏郷(がもううじさと)が1588年(天正16)松坂に築城すると,伊豆蔵・雲出蔵・射和(いざわ)蔵などの伊勢の豪商や日野商人も松坂に来住した。江戸では,開府早々から日本橋周辺の町屋に小田原や松坂の伊勢商人が多数移住している。故郷の松坂木綿をはじめ尾州木綿・三州木綿を扱い,呉服類や両替商・質屋などもてがけ,店数の多さを利殖に巧みなことにあわせ,「伊勢屋稲荷に犬の糞」と皮肉られるほどになった。三井・川喜多・小津・長谷川・竹川の伊勢商人が有名。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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