異国船打払令(いこくせんうちはらいれい)
文政の打払令・無二念(むにねん)打払令とも。1825年(文政8)に幕府が発した異国船取扱令。異国船来航があいつぎ,沿岸諸藩が警備や応接の負担に苦しむなか,イギリス船フェートン号事件や常陸国などへの上陸事件を契機に,幕府は1806年(文化3)の薪水給与令を改め,沿岸に接近する異国船に対し無差別な打ち払いを指令した。オランダから諸外国に本令を伝えることで,接近する船を減少させるとの狙いもあった。しかし,37年(天保8)のモリソン号事件,清国でのアヘン戦争勃発,イギリス軍艦渡来情報などから,幕府は打払令の継続はイギリスとの紛争を招く恐れがあると判断,42年再び薪水給与令を発した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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