壱岐国(いきのくに)
西海道の一島。現在の長崎県壱岐市。「魏志倭人伝」の一大(支)国,「古事記」の伊伎島(大八島の一つ),「万葉集」の「由吉能之麻」にあたる。「延喜式」の等級は下国。「和名抄」によれば壱岐・石田の2郡からなる。島府は「和名抄」では石田郡(現,壱岐市芦辺町)にあるとするが,もとは島分寺とともに壱岐郡(現,壱岐市芦辺町)にあったと思われる。一宮は天手長男(あめのたながお)神社(現,壱岐市郷ノ浦町)。「和名抄」所載田数は620町余。古代には防人(さきもり)や烽(とぶひ)がおかれ,刀伊(とい)の入寇,元寇の際には大きな被害をうけた。少弐(しょうに)氏の守護時代ののち,松浦党(まつらとう)・波多氏の支配をへて,近世は平戸藩領。1871年(明治4)廃藩置県により平戸県,同年長崎県に属した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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