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家元(いえもと)

日本の芸道・武道・学問・宗教などで,その流派の正統とする精神・芸風・技術などを伝える家,あるいは人をいう。平安時代から歌道・雅楽・蹴鞠(けまり)などに存在が認められる。多くは江戸時代以降に成立し,代々血縁的に世襲される場合と,人格・技能がとくにすぐれた人物が継ぐ場合がある。家元制の構造は師匠と弟子の家父長制的主従関係を基本とし,古来の伝統を重視し,名取などの任免権による収入や,秘伝・秘技の独占などの問題もあるが,日本文化の伝統保持のための効率的組織であることから,その必要性も説かれる。茶道の三千家(さんせんけ)・遠州流・石州流,華道の池坊(いけのぼう)・草月流・小原流,能楽の観世流・金春(こんぱる)流,剣道の柳生流・一刀流などがある。江戸時代には家本とも書いた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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