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観世流(かんぜりゅう)

(1)能のシテ方の一流儀。流儀名は,大和猿楽四座の一つ,結崎(ゆうざき)座の大夫であった流祖観阿弥清次の幼名観世丸に由来。後継世阿弥元清は数多くの能楽論と能の作品を著すが,嫡子元雅(もとまさ)を生前に亡くし,3世は甥の音阿弥(おんあみ)三郎元重。歴代大夫のなかでは,世阿弥伝書などの写本を多く残す7世元忠(宗節),光悦流書体の謡本を残す9世身愛(ただちか)(黒雪),国学者加藤枝直らとともに謡本の改訂を行い,明和改正本を刊行した15世元章が著名。分家の銕之丞(てつのじょう)家は1752年(宝暦2)元章の弟清尚から。明治維新に際し,22世清孝が徳川慶喜に従って一時静岡に移っている間に,初世梅若実・5世観世銕之丞紅雪が東京の能楽界に勢力を伸ばし,やがて観梅両家の不和をもたらし1921年(大正10)梅若流が分離したが,54年(昭和29)復帰した。(2)小鼓方(こつづみかた)観世流。新九郎流ともいう。信光(音阿弥の子)の孫,観世九郎豊次が初世。流祖は鼓の名手宮増弥左衛門親賢という。観世座付。(3)大鼓方(おおつづみかた)観世流。小鼓方観世流の6世新九郎豊重の四男を流祖とする。観世座付であったが,1694年(元禄7)から宝生座付。(4)太鼓方観世流。左吉流ともいう。音阿弥の子,与四郎吉国を流祖とする。4世似我(じが)与左衛門国広は太鼓伝書を記したことで著名。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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