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観世元雅(かんぜもとまさ)

生没 ?~1432.8.1 室町中期の観世座の能役者・能作者。世阿弥の子で,「申楽談儀」編者の七郎元能とは兄弟。通称十郎,実名元雅。父の出家後,観世大夫となり活躍するが,将軍足利義教(よしのり)は元雅の従兄弟音阿弥元重を重用し,世阿弥父子を圧迫した。元雅は苦境の中で父に先立ち伊勢国の津で客死,30代の早世だった。法名善春。「風姿花伝」などの伝書を元雅に相伝した世阿弥は,追悼文「夢跡一紙」を著し,「子ながらもたぐひなき達人」「祖父にもこえたる堪能」と評した。若年より世阿弥の薫陶をうけて能作を行い,「隅田川」「弱法師(よろぼし)」「歌占(うたうら)」などに新傾向の作風を樹立。世阿弥晩年の作風に影響をうけつつ,遊舞主体の能をこえようとした。独自の悲劇的色彩が光る。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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