漢書(かんじょ)
前漢の高祖劉邦(りゅうほう)から新の王莽(おうもう)まで(前206~後23)の230年間をおもに記した中国の正史。皇帝12代を記した帝紀12巻,諸侯・官名などを一覧にした表8巻,律暦・礼楽など制度を扱う志10巻,個人の事績を記す伝70巻の計100巻(のち細分して120巻)からなる。後漢の班固(はんこ)らの撰。班固の父班彪(はんひょう)が基礎的仕事を手がけ,班固の死後,8表と天文志は妹の班昭がうけつぎ,馬続(ばしょく)がこれを助けて完成させた。文章が古典的で,班固没後100年にみたぬ頃から音義が作られた。帝王が則るべき古典として,「史記」とともに周辺諸国にも大きな影響を及ぼす。巻28の地理志に倭(わ)の記事がみられる。注釈も多く書かれ,唐の顔師古の注が知られる。日本でも奈良~平安前期には「史記」よりも重宝された。中華書局刊。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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