川留(かわどめ)
江戸時代,川越(かわごし)制の実施された河川で水位が一定限度をこえると川越を禁止すること。判定基準は河川によって異なるが,東海道の酒匂川の場合,脇通りの水(約3尺5寸)で馬越禁止,首通りの水(約4尺5寸)で歩行差留となった。河川をはさむ宿は逗留者によって繁忙となり利益を得たが,沿岸の村落は賄いを余儀なくされることも多く困窮した。川留は4~5日から1カ月に及ぶ場合もあり,旅行者が路銀を使い果たすこともあった。水位が下がると川越が再開され,これを川明(かわあけ)・留明といった。川留・川明の判定は川役人の裁量による。川明になると御状箱(ごじょうばこ)が優先された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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