河内木綿(かわちもめん)
近世以来おもに河内国で生産された白木綿・縞(しま)木綿・雲斎・厚司などの糸太地厚の綿布。河内は近世初期から綿作が盛んで,やがて繰綿(くりわた)・手紡糸・綿布が農家によって生産されるようになった。そのうち綿布は大永・享禄年間(1521~32)に作られ始めたともいわれるが,本格的発展は元禄年間(1688~1704)とみられる。以後河内は他の綿織物産地を圧倒して成長し1830年(天保元)頃年産300万反に達したというが,近世を通じこの水準に到達した綿織物産地は他に例がない。幕末の弘化年間(1844~48)以後河内の綿布生産は停滞し,明治期には後発産地の泉南などに押され不振となった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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