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紙漉(かみすき)

紙を漉くこと。溜漉(ためずき)と流し漉がある。溜漉は後漢の蔡倫(さいりん)が創始したという方法。十分に叩解(こうかい)した紙料を水の入った紙漉船に入れ,これを簀(す)と桁(けた)ですくう。水が漏出したのち湿紙と簀を離し,湿紙の上に紗をかぶせる。何枚も湿紙と紗を重ね合わせ重石で水分を切り,干板で天日に干す。叩解が不十分だと繊維が凝結して漉むらができやすい。流し漉は9世紀初めに考案された技術で,助漉(じょろく)剤である黄蜀葵(とろろあおい)などのねりを紙漉船のなかで紙料に混ぜる方法。助漉剤は楮(こうぞ)などのように叩解しても繊維が長く不均等な紙料を平均化させ,漉きあげる際も簀の上になめらかで均質に広げることを可能にした。この方法は叩解に時間をかける必要がないため能率的で,楮紙(ちょし)の大量生産につながった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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