家父長制(かふちょうせい)
家族に対する秩序が,家父長である年長の男性のもつ専制的な権力によって支配される制度。家父長制家族では,家父長が財産および妻子や奴隷に対して絶対的な権力をもった。古代ローマ,ゲルマンや中国が家父長制の代表とされるが,家父長権の内容はそれぞれ異なる。また家父長制の理念を国家に援用し,家父長としての君主が支配権を専有することによって民衆を支配し,民衆は無条件に服従するという政治的支配体制としての家父長制もある。日本では明治政府によって,家父長的家族制度を理念とする家を基盤にして,天皇と「臣民」の関係を父子関係に擬制させる家父長制的思想から,家族国家観が形成された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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