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姓(かばね)

古代の政治的称号。今日では氏の名,または氏の名に朝臣(あそん)などを付したものをセイ(姓)というのに対し,朝臣・連(むらじ)など氏の名の下に付す称号をとくにカバネとよぶ。古代のカバネは臣(おみ)・連・君(きみ)・造(みやつこ)・直(あたい)など三十数種に及び,それらには皇別と神別の出自(氏族系譜)による区別と,職掌など氏の性格による区別がある。しかし氏族系譜は後世に造作された可能性が高く,実際は畿内の有力豪族・伴造氏族,地方の有力豪族など各氏族の性格の違いによってカバネが与えられたものと思われる。カバネはもともと人名に付した尊称から発生したもので,5~6世紀の伴造制度や部制度の成立が,氏姓制度の一環としてのカバネに影響を与えたと考えられる。また670年(天智9)の庚午年籍(こうごねんじゃく)で全国の人民の氏姓を定めたこと,683年(天武12)から始まる天武朝の族姓改革でカバネを再編成したこと(八色の姓(やくさのかばね))によって,カバネ制は確定した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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