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借上(かしあげ)

中世前期の高利貸,またその業者。「上」は出挙(すいこ)の挙と同じ意味で,借して元金・利子を挙げさせる意からうまれた。荘園制下の交易・輸送などに従事し財力を蓄えた神人(じにん)・寄人(よりうど)などに多くみられる。巨大荘園領主だった山門(延暦寺)には,所領経営の実務に通じた下級僧侶である山僧が多く,京都の高利貸の主流となった。山僧は山門に集積された大量の米銭から融資をうけ,山門の威力を背景に債権回収を強行した。所領の経営能力を見込まれたり,貸付金回収の手段として,従来無縁の荘園領主や地頭にまで所領の代官請負契約を結ぶ例がふえた。鎌倉幕府は地頭所領の流出や山門の関与を嫌い,借上を地頭代官に任じることを禁じた。室町時代には高利貸は多く蔵をもち,土倉(どそう)・蔵本(くらもと)などとよばれた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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