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柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)

生没年不詳。万葉第2期の歌人。柿本朝臣は,和邇(わに)氏の同族。経歴なども不詳。「万葉集」に人麻呂作歌とあるものは長歌18首,短歌64首。年代判明歌中の最初の歌は689年(持統3)の草壁皇子挽歌,最後は700年(文武4)の明日香皇女挽歌。「石見にありて死に臨む時」の歌が残るが,石見国赴任は晩年でなく,伝説によって題されたものか。儀礼・羈旅(きりょ)・相聞(そうもん)・挽歌など各分野に歌があり,多くは宮廷の席で歌われたものらしい。ほかに「柿本人麻呂歌集」があり,680年(天武9)作と注する1首によれば,歌集歌は題詞に人麻呂作と明記する「作歌」以前の作と認められる。漢詩文の影響をうけ,はじめて文字によって歌を記しながら作っていった歌人で,その反省的意識から,歌形や対句・枕詞・序詞などの技法を完成し,流れゆく時間とせめぎあう新たな抒情を展開した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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