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餓鬼草紙(がきぞうし)

平安後期の絵巻物。六道絵の中の餓鬼道を描いた絵巻。京都国立博物館本(曹源寺旧蔵)と東京国立博物館本(河本家旧蔵)の2巻が現存するが,画風はやや異なる。前者は,詞(ことば)と絵7段からなり,複数の経典から題材をえて,説話画的性格を備える。餓鬼の出現する場面の描写の風俗表現にすぐれる。後者は,絵のみ10段分が現存。「正法念処経(しょうぼうねんしょきょう)」餓鬼本の説く36種の餓鬼を表すものといわれるが,すべての餓鬼の名称が特定できるわけではない。おぞましい鬼を描きだす筆致は精緻で暢達(ちょうたつ)している。紙本着色。京博本は,縦27.0cm,横541.0cm,東博本は,縦27.3cm,横384.0cm。ともに国宝。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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